2017 10/02 18:35
ハァモニィベル
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《 旅に病んで夢は枯野をかけ廻る 》松尾芭蕉
死の四日前に詠んだ句ということで、
一般には辞世の句として流布されていますが
はたしてどうだったのでしょう。
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弟子の八十村路通は、『芭蕉翁行状記』にこう書いている。
平生則チ辞世なり、何事ぞ此節にあらんやとて、臨終の折一句なし
(「毎日、日々辞世のつもりで詠んでいる私だ。どうしてことさらに
辞世の句など詠む必要があるだろう」と仰言って臨終の折には詠まなかった。)
ああ、それでは、「旅に病んで…」は辞世の句ではなかったのか。
芭蕉には辞世の句はないんだ。と考えるのもはたしてどうなのだろう。
芭蕉の句は、その信念からすれば、全てが、辞世の句であったとも言えるだろう。
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