生贄合評スレ[390]
2016 05/10 22:16
nemaru

以前ポイントを入れさせていただいた詩は短く、「」や。や…の使い方が独特で変わった雰囲気がしたので「参考になるなあ」と思って入れさせていただいて、そういう感じかと思ったらすごくリアル(?)で

>汗を拭いて腰を曲げながら
>苗の中に身体を沈めると
>小さな身体がより小さく見えるのだ。

わたしはこの光景が少しわかりづらかったです。苗の中というのは、はじめ田んぼの真ん中かな?と思い、いやいや、これはお昼を食べるため、あぜ道に腰を落ち着けるためだろうと思ったのですが、これは少し遠くから苗越しに見るとそう見えるのかな…と。苗の丈の具合をわたしは見たことがないので、周りの田んぼの長けた苗から見て沈むのか、父が植えたばかりの苗から見てそうなのか、小さく見えるどころか、見えなくなっちゃうんじゃないか、などなど。

>「いただきます。」の一言が
>神様への貢物にも見える。

「ほんとかな?」と。 「にも」の「も」で、神様への貢物以外は何に見えるのだろうか? ふつうの「いただきます」に見えるのだろうか。

>一粒残しただけで
>厳しくとがめた母の気持ちが
>額の汗と重なった。

すげー! 一粒と汗のサイズ感とスムーズに入りますね! すげー! わたしもこんなの書きたい!と思っちゃいました。すごいですね。

>父が立ち上がり遠くを見ながら
>今年もよろしくお願いいたします。と言ったので
>一口分のおにぎりを食べながら
>私もよろしくお願いいたします。と
>手を合わせた。

5連の「」で閉じる「いただきます。」と
7連、閉じない よろしくお願いいたします。はまた違うのだろうな、と。
それは流れとしてか見た目としてか事実としてか、
どういう線引でそうなるのかは不明ですけど
なんらかのルールが含まれてるわけですから、
と思いながら、また読みなおすと

>母が麦茶と重箱を差し出しながら
>にっこりと笑っている。

「にっこり」は少し不用意なのかな、とか。
物、物、景色、ようす、にっこり(なんでやねん!)みたいな。
たぶんそこ(差し出しながら)で改行して「笑っている」だけだと
すわりが悪いので出ちゃったのかな、っていう、
なんというか、体裁を気にしちゃってるような感じをこちらがわが受ける面もあると思います

>一息つきながら
>差し出しながら
>腰を曲げながら
>見ながら
>食べながら

ちょっと「ながら」が多いかもしれません
でも
父「見ながら」
私「食べながら」の差ですね
ここは何か、さりげなく決定的なものがあるように思います
信仰の差というのか、「風」に対する反射速度、生命力? いろいろ考えられますが、
「私」は、ちょっと遅れた、でも一口食べた。「風」という言葉はないですけど
何か、前後の文脈や「苗」で、そうかなあって。
列車も走るし、森もざわめいているし。
あんまり象徴的に捉えるより、そのままがいいのかなあって。

もう一度読むと、

>父が立ち上がり遠くを見ながら
>今年もよろしくお願いいたします。と言ったので

>一口分のおにぎりを食べながら
>私もよろしくお願いいたします。と
>手を合わせた。

「私」は「手を合わせた。」なんですね。
前の行に「と(言って)」が含まれているか。
もしくは「手を合わせた。」で無言か。
一口なら、口ごもりながら「言える」可能性もある。

あと、今思ったのが、ここに「」が入らないのは、もしかすると
私も「よろしくお願いいたします。」ではなく、
「私もよろしくお願いいたします。」にするためである可能性も出てきますね。

>さわさわと揺れる苗の深緑。
>少し大きくなった入道雲の影。
>母のひざでは
>二人の妹が寝息を立てている。

最終連は不思議な印象でした。
少し時間が飛んでいるようでもあるし、ゆっくりと流れる時間、外のようでも縁側のようでもある感じ。



今朝ねぼけまなこの初読でしゅむ(おでんにだし汁がよく染みてるような感じです)なあと思いながら何度も読んでましたが、いろいろ意外な発見があって楽しかったです。ありがとうございました!
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