2018 09/22 10:23
るるりら
遠い記憶の中の
二階への階段を登ると
行く手に 二つの部屋がある
片方の部屋からは えもいわれぬ臭気が漂っている
ふすまをあけると 大きな白いキャンバス
画板にいっぱいに広がる白い粉の平原だ
もう何日も透明な顔料画板塗り重ねられている
角度によって微細の粒子が それぞれ乱反射して
薄暗い部屋の片隅で 深い眠りのように白いのは
白い粉が 貝殻を原料とした顔料だからかもしれない
乾くまでは いつまでもいつまでも死んだ海の匂いがする
死んだ海の匂いの隣は、少女の部屋
カーテンを すこしあけると
あっという間に ひかりがさしこんで
少女の部屋は
なんだか きやきやする
鏡の中から彼女の声が聴こえる
(今日は、貝を種としてみようかな
まずは双葉のような伸び
もしかしたら わたしはビーナスじゃないかしらん
だって 二枚貝の内側に光が入ったみたいに 綺麗な朝ですもの)
!!『おまえの光は今どこにあるぅ』!!by シェークスピア リア王
かがみのまえで三回回転しながら 劇ぽくつぶやいてみる
「わたしのひかりは ここでーーーーーす。」
君を夏の日に喩えようか
Shall I compare thee to a summer's day?
いいや、君の方が美しく、穏やかだ。
Thou art more lovely and more temperate: by 恋に落ちたシェークスピア