ラウリ・ラパラは
松の木を削ったらしい

そいつから比べれば
なんてことない
作業の筈なんだが

　　　気がつきゃ
　　　にらめっこだ
　　　また
　　　やんわらかい
　　　バルサウッドと
　　　飽きることない
　　　にらめっこだ

ラウリ・ラパラの様に
生活かかっているわけじゃぁないけれど
そいつで
今日の食事を確保しなきゃぁならんわけじゃぁ
ないんだけれども

　　　せっかく
　　　生んでしまう命なんだ
　　　悩んでやらなきゃ
　　　かわいそうじゃぁないか
　　　失敗作の
　　　烙印だなんて
　　　おさせちゃぁいけないじゃぁないか

カッターナイフが
やんわらかいバルサウッドを削りだす
カッターナイフが
汗水たらして
命を注ぎ込む
ボロボロになった体に鞭打って
口笛吹いて
己を励まし
新しい命を取り出すために
ひと掻き
ひと掻き
口笛吹きながら

新しい命が
湖を
海を
縦横無尽に泳ぎ遊ぶ
その姿を夢見ながら





　　　　溢れる木屑の波の中で
　　　　そいつは
　　　　確かに
　　　　ぴしゃりと
　　　　ヒラを打った


ラウリ・ラパラ*1