インディアン・サマー
銀猫

黄色の花は枯草に足元を譲り
冬の陽だまりが
影もつくらず
土に隠した春の気配を
内緒で温めている

霜を忘れた僅かな緑は
十二月の大気に身じろぎもせず
去年のうたや
昔むかしの花冠を
夢のように思い出しては
こころにだけ春を着て
恋をする

夢の景色に雪は降らず
遠い菜の花畑のシジミ蝶が
雪舞いを舞う

その、淡やかな舞は
雪よりやさしく
白を纏って
恋の日に咲いた金の花粉を
いずれかの春に運んでゆくのだ


陽だまりに
冬を忘れて
目蓋の内側に
蝶が舞う
願いごと微か




自由詩 インディアン・サマー Copyright 銀猫 2006-12-24 23:55:46
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