「 背負い酒。 」
PULL.







一杯。



背負い酒は、
ふたり酒。
だから今宵も、
ひとりふたりの酒を飲む。






二杯。



「他人の酒まで飲むほどに、
 落ちぶれちゃないぜ。」
と嘯いて、
他人の酒を借りて飲む。






三杯。



注がれた酒は飲む性分。
注がれぬ酒は注せる性分。
言われぬことは聞かぬ性分。
はやく喋ってお注ぎなさいな。






四杯。



飲まずとも酔うように生き、
酔わずとも飲むように死す。












死杯。




死せる酔っぱらいは生けるように飲み、
やがてもう一度死んで向こうでも飲む。












           了。



自由詩 「 背負い酒。 」 Copyright PULL. 2006-12-24 06:39:16
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