冬眠
蒼木りん

でんでんむしが壁に張り付いたまま
冬眠してしまったので
そのままにしておきます
どうやら
家に住み着いたらしいこのでんでんむしは
たしか
おととし辺りから見かけて
たぶん
それに気が付いてるのは
わたしだけ

糸を残したまま
クモもいなくなりました
五月蝿い蠅も消えました
ゴキブリは見かけません
蟻はいまは
何してるんでしょう
コオロギは死んだのかしら

わたしはいま
わたし以外の人たちに動かされています
わたしの気持ちなど見えない人たちに
わたしも
わたしの気持ちしか
ほんとのところ感じません
わかった気がするだけで勘違い
でんでんむしの気持ちなんか知らないんです
だけど
一人ぼっちだったら
冬眠しちゃうでしょうね

寝るのがすきだし


未詩・独白 冬眠 Copyright 蒼木りん 2006-12-24 00:17:35
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