ふるえる梢
佐野権太

街をみていた
貴方の街を

白々と染まる朝の底から
浮上する軒先の陰影
心配するなと云ってくれた
おまえの街だと

しずかな春の空を斜めに切った直線
落ちてきた羽ばたきの伸ばす
細い肢先にあるこずえ
はじめから予定されていたのか

その愛らしさに
宜しくお願いしますと
胸のうちにささやけば
初めて聴く言葉のように
不思議そうに首をかしげて


自由詩 ふるえる梢 Copyright 佐野権太 2006-12-23 13:15:38
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