私に名前を授けてください
いとう
夜の霧の街灯の脇から
ほんとうに小さなものたちが湧いている
きぃきぃと
ほんとうに小さな声を上げている
いられなくなったのだねと
手を差し伸べると
爪の先から入り込んで
なんだか悲しくなるのだけれど
それはたぶん
ほんとうではない
よくわからないことがときどき起こって
そのたびに何か欠けていくような気がするのだけれど
それは欠けていくのではなく
埋められていくのだろう
頭の中でふいに呼ばれて
どこを向いていいのかわからず
首を傾げてみる
どのような名で呼ばれたのか
いくら考えても思い出せないので
きぃきぃと
つぶやいてみる
ほんとうに
小さな声で