トゥオ
黒川排除 (oldsoup)

来賓は枝を内蔵したカナリア

倒れた門の影が立って入口

電報打つ行方不明者の虚ろなバリトン

雪塊囲む石 消えゆく 一時間毎に

無心の蔓の侵入百年間許す

ペガサスの腹筋白く雲と交わる

近所を迷い忘れて正確な帰宅

無為と知るにも熱量使う舞台裏

薄紙に滲む実名唯一紺

七十二階のロビーに破れている枕

見えなくなるまで打ち込まれなおも震える杭

壇上に皿と空気とスピーチ始まる

祭具捨てて血で錆びた地区迂回する

プラスチックの鍵流れくる川の上流開けて

寒いからうさぎを履く 空が恋しくなる

田園にフラスコ置いて空虚ためる

雫になりようもない頭を垂れている

星形の花・花の星座の分岐点

床突き破り網戸で泥を漉している

宙を刺す金粉いずれの視界にも


川柳 トゥオ Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-12-14 05:44:08
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