ボ・ディ
プテラノドン

  突如、ファンファーレが鳴り響き、
歳月という歳月が、打ちひしがれた記憶が
―それは最後の葉を落とした冬の木々のように
私を丸裸にした。とはいえ、船長に任命された私は
真っ黒なボロノジャケットと、眼帯を装着している。
どちらも金の刺繍で「M」と刻んだタグが縫い付けられている。
壜の中に閉じ込められた大洋を横断するヨット。
そこに乗組員は私だけだった。もちろん、嵐はなかった。
航海を邪魔する怪物たちも空想だった。只、どこまでも
なだらかな波のうねりが、私を暗澹とした気分にさせた。
逆襲の意味をこめてこめかみに銃口を突きつけたこともあったが、
引き金をひかなかった。私のボディだけでなくそれも、
おもちゃだったため。


自由詩 ボ・ディ Copyright プテラノドン 2006-12-10 16:17:59
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