精子がごみ箱に捨てられたあと
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ジャグジーがくすぐったいだなんて笑っちゃって仕方ないな
ほとんど脂肪だからよく浮くんだ、あ、臀部が水面から出た
人類が正しくなくても許すよ
種族になんの利益ももたらさなくてもいいや
まだくすぐったがってるからついでにくすぐっとこう、あ、一本ここだけ太い毛だ



幸せなら手を叩こう



照明の充実した浴室のシャワーで狙い撃ち
仕返しだ
行為はロマンティックじゃなくてシステマティックな摩擦
「あ、ここにいい男が一匹」
「あ、ここにかわいい女の子が一匹」
「それって幻じゃないの」
「俺に見えてるなら幻でも問題ない」
死なないでね、死んだら殺すよ



幸せなら手を叩こう



幸せって何か分かってないでしょ
生きてるって何か分かってないでしょ
愛って何か分かってないでしょ

分かるまで待てないんだ
だから分からないままそんな単語使っちゃうんだ



幸せなら手を叩こう



自分が生きてる意味なんてくだらないって知ってる
人一人が死ぬのと蟻一匹死ぬのとさして変わらないって知ってる
大げさに抽象名詞を掲げてみても誰の目にも見えないなら
今だけでも
わたしを必要だって思いこんでくれて嬉しいよ
あなたがいないと生きにくいって思いこめれて嬉しいよ
この嬉しいが薄っぺらくったって構わない
失う覚悟をする前に手に入れてしまった錯覚を寄せ集めて
愛してるなんておもわず口走りたいんだ



幸せなら手を叩こう
幸せじゃないなら手を繋ごう








自由詩 精子がごみ箱に捨てられたあと Copyright ________ 2006-12-09 01:48:27
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