右側の肺を押しつぶして
ゆっくりと苦しくなった
古典的なモーラスが夕暮れを真似たので
気をつけようと思っていたのに
気づいたらもう信じてしまった
わたしの上にもついに夜が来た ....
ふざけて
うたたねしている君の乳首を食べようとすると
目を覚まして しょうがない子ね という顔をする君は、
君は、すこし悲しそうなので僕は、
僕はとても見つめていられなくな ....
少しだけのつもりが
とうとう
未来を飲み干してしまった



すると
なんの音も立てずに忍び寄った

世界が、
きみとぼくだけでできた世界が、
膜を縮めてとらえようと ....
かなしい
かなしい

と思っていると
なにをかなしいと思っていたのか
わからなくなってしまった
返事を期待しないきみのなまえを
部屋のそこここに置き散らかしたまま
 ....
今にもねようとふとんにもぐり
君の肩に鼻を押し付けていると

とおくのとおくで猫が
ぎにゃあ、ぎにゃあ、と生きているのがきこえ

君もわたしもまだ死んでいないみたいに
はじまるの ....
君のまぶたと
君の四肢が重くなだれる
夜、
セミダブルベッドの上で耳をすまして
スーパーカーが空を飛びまわる音を追う
「月に向かうあの人たちには
 わたしたち、きっと一生届かな ....
そんなもの、と思った
くだらない
直視できずにうつむいた
若さを消耗している途中、それが今日のこと




わたしがかつて
人差し指にくるくると巻いていた、
彼の襟足はもう随分 ....
乾いた目覚めに粉々になりそうな朝、
ぎりぎり折れない体を運んで、
そしてわたしの学生時代を知らない人々に囲まれて
考えることを忘れようとする
笑うことに努めようとする
上手に謝れ ....
文庫本のページで挟んで潰したわたしのうた
小さくて
みじかい
誰にも聞かれずにおわった
おわりがあるからよかった


イヤフォンでせきとめられた
音楽が出口をもとめてい ....
キャンディチョコレートの包み紙が
ふうわりと積まれて
白いテーブルの上で
落ち葉みたいにかさかさ動く



禁止されてはいないのに
たばこもお酒もたしなまないのは
 ....
「普通に生きていくのって思ったよりも難しいんだね」
ほんとうのまる、ほんとうの直線は、
人の手には描けないんだよ
太陽が揺らいで溶けそうになっている
輪郭線をごまかしている
 ....
一人暮らしを始めるにあたって
無理をして
セミダブルベッドを買った
食器やスプーンも2つずつ
テレビもレンジも買えないのに

馬鹿な子
白い壁
冷蔵庫の音
じっと ....
生きていることが
馬鹿らしいと
気づいてしまうときがある
君を想うと
あたまの中、
君の声と笑顔と口癖としぐさでいっぱいになって

少しの間
それを忘れる




 ....
君の頬つまみ
何度も確かめ
やっぱりやわらかいので
そのたび嬉しい
君は表情をかえないまま
暖かな部屋で、へたなギターを弾く
わたしはそれを聞かずに
時計の針の音を追う
君 ....
ずっと不安だったんだ
こうなるんじゃないかって
分かってた

何にも覚悟してないのに
努力とか、苦労とか、してないのに
いきなり幸せごっこなんて
贅沢過ぎて
そんなわけ ....
歌詞が邪魔だという彼女はクラシックをかけて
キッチンに立つ
クリーム色のソファと橙色のカーテン
長い髪がさらりとこぼれてきたのを少しうつむいて耳にかける癖
その耳に ....
ヒステリックな叫びの断片が聞こえた気がした
いつもの駅前で振り返ってお母さんの姿を探した
それがわたしの名前を呼ぶときの彼女のやり方だった


もうそばにいない人のことを ....
まるで完璧だった
彼女と彼は
絶妙なバランスで以って
倒れずに済んでいた




大きく開け放した窓からは
四角く切り取られた空の匂いと
入り込んだことにも ....
巨峰天然水飲んでもレモンティー飲んでも
どっちがどっちなんだか区別がつかない
どちらもおんなじようにすっぱかった
あなたのキスのあとはいつだって
ショートケイクを食べたあと ....
君と僕とは性欲で繋がっている気がする






だいたい疲れた顔をしていた
たまに、ほんとうに笑っているようにも見えた
空港が近いから、ひこうきぐもは見飽きていたはずだ ....
ジャグジーがくすぐったいだなんて笑っちゃって仕方ないな
ほとんど脂肪だからよく浮くんだ、あ、臀部が水面から出た
人類が正しくなくても許すよ
種族になんの利益ももたらさ ....
先を歩く彼の
黒いコートの背中に猫の抜け毛がたくさんついている
みゃあちゃんの毛まるけだね、と言うと
ちょうど、指で挟まれたグミみたいに笑うから
なんだ ....
朝になりかけた夜、
わたしは
わたしとあなた以外のすべての存在に(当然そのとき窓の外にいた月や引力にも)
気がつかないのだった





あなたの吐いた
荒れた ....
君がいなくなった部屋で僕は呼吸をする
君の香りが消える瞬間を見逃さないために






僕も世界もなんて平凡でつまらないんだろう
もっとずっと素敵なものだと思っ ....
あ、と思いついたように
君の名をよんだ
アルバムをめくるような心地よい痛み
かつての日常がじろりと一瞥する

表情のない唇からそれは流れ出て
部屋のどこかに隠れて、そし ....
それでも、朝、目を覚ましてみたら、やっぱり君が好きでした 途切れさせないことを唯一の目的にして
わたしは
大きな夜を千切り続けます
半分をまた半分に
それをまた半分に
そうしていればいつまでもなくならないのです

君の髪 ....
今晩も冷えますね
こんな夜は
ゆっくりと埋もれたいので
わたし
暖かいお湯を今沸かしているところです
お湯が沸くまでの
細切れの手持ち無沙汰の時間
少々わたしのおしゃべ ....
塊を握り締める
指の間からはちきれた渦
おろし器を経て屑になっていくわたしのからだ
君のために熱をいただき、
君のために繊維をほぐそう
あたたかくやわらかくなろう
 ....
夜の母校に忍び込んで
安い酒を飲みながら
グラスを窓から落として割る
黒板に一筋の白線
暗闇を引き裂く流れ星
先生、わたし正しい答えなんて、大人になっても分かりませんでし ....
________(76)
タイトル カテゴリ Point 日付
わたし、苦しい自由詩1*08/12/11 1:05
僕は、しょうがない自由詩1*08/9/2 23:48
世界のごはん自由詩2*08/6/17 23:49
かなしい、かなしい自由詩3*08/6/9 23:35
明け方のアイスクリーム自由詩3*08/5/14 22:16
人生のうちで一番笑う日自由詩1*08/2/4 23:11
日常のひとくち自由詩2*08/2/4 21:21
茄子とひき肉のカレー自由詩0*08/2/2 18:28
100%グレープ自由詩2*08/2/2 18:21
チョコレートは優しい自由詩0*08/2/2 18:18
生活自由詩5*07/8/25 1:19
避難経路[group]自由詩3*07/3/15 1:50
ブラインド自由詩1*07/3/6 3:35
チクタク自由詩0*07/1/16 1:21
いもけんぴとホットミルク自由詩4*07/1/8 21:02
夜想曲自由詩1*06/12/19 21:31
電子レンジのメロディー自由詩1*06/12/19 21:20
夢をみたがる君にまたがる自由詩0*06/12/19 21:04
唇をつなぐということ自由詩0*06/12/16 21:10
君のかたち自由詩2*06/12/12 14:15
精子がごみ箱に捨てられたあと自由詩7*06/12/9 1:48
彼のこと自由詩5*06/12/7 3:40
髪にもぐる指自由詩5*06/12/7 3:07
今日の雨が自由詩5*06/12/6 3:16
はじめ自由詩1*06/12/6 2:54
ベッドの右端自由詩4*06/12/6 2:46
またたく夜の漸近線自由詩4*06/12/4 0:58
湯張り自由詩4*06/12/4 0:05
ハッピー ミール自由詩6*06/12/2 23:36
明日自由詩8*06/12/2 21:47

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