目覚まし時計を止めたまま
たりぽん(大理 奔)

私が眠っている 界の隙間で
空がどんなあくびをしているか
そんなことが知りたくて
目を覚ますと、忘れてしまう

後頭部に焼き付くような
落日のあの色を
惰眠のみやげにしようと
まぶたに閉じこめると、忘れて

胸を衝いた笑顔を切り取り
眠りの中で私だけのものに
、そうしようと考えた途端に
夢ではなく失ってしまう

  忘れること
  失うこと

いまそこに無いということが
私が眠っている世 の狭間で
仕草の一つ一つを忘れはしないのに
手を伸ばした姿勢のまま
失ってしまう

小さな棘のささやかな痛みで
今日もまた目覚めてしまう
私の眠りの中で胸を付いた笑顔も

手を伸ばした姿勢のまま





自由詩 目覚まし時計を止めたまま Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-12-04 00:23:12
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