私の中の女
ネコ助

望んだはずの
二人っきりの語らいは、
余りにも二人っきり過ぎて
時の過ごし方に困り出す。
ここには僕と君しか居ない。

こんな時
きっと互いに考えることは、
次の言葉を選ぶこと。
頭の中でのシミュレーションの語り合い。

同じ思いのそのために
僕の中の女が
君の中の男と話している。
瞳の奥に君の男が見えている。
君は男に、
こうして欲しいと言っている。
僕は女に、
幾通りもの語らいをしている。
そして、
最善と思う言葉が空気を震わせる。

本当は、飛びかかり、
かみつきそうな情熱を持ちながら、
そんな勇気もなかったのか、
紳士でいたかったのか、
互いの中の、男と女に試みて
やっと話していた初な恋。

あの頃、私の中には女がいた。


自由詩 私の中の女 Copyright ネコ助 2006-11-30 23:07:13
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