今日はすべて、うまくいく気がした
水中原動機

クリスマスイルミが
豆電球からLEDに変わってしまった
この街のクリスマスは
昔よりずっと明るいのにうら寂しくて

キミがあのときふと言った
自分らしく生きるって結局
自分勝手ってことでしょ?の言葉が
耳の奥でずっとこだましてる



ツリーは緑の木に赤い電球だった
子どものころのボクは
クリスマスイブの夜いつも
お菓子のブーツ枕元に置いて寝た

サンタクロースなんて来やしない
女の子みたいとバカにされても
次の朝にはちゃんとミニカー
毎年増えていった

キミと初めてのクリスマスについて
プレゼントはもう決めてあって
お菓子のブーツじゃなくて
毛糸の可愛い靴下に入れよう

なんて考えてたけど
現実結局仕事三昧で
約束やぶった次の日曜
あっさりふられてしまった



自分らしく生きることが
自分勝手になってしまうボクは
いつも周りになじめなくて
夢中になるとなにも見えなくて

うまく伝えたつもりでも
ひどく誰か傷つけて
そのたび痛み背負って
重い想い抱え続けて

だから終わってしまったこの恋は
あまりに肩透かしあっけなく
せめて鋭利な刃物でボクを刺して
そしたらボクもキミ刺し返したのに



あふれただけだった気持ちと
反比例して足りなかった行動と
一緒に過ごせた時間と
やり過ごしてしまったいろいろ

いまさら何かして元に戻せなくて
時間はいつも不可逆で
どんなコトバも届かずに
胸には砂がいっぱいつまったみたい

でも頬なでる冬の風
嘘っぱちヤケッパチクリスマスソング
ふきさらしのケーキ予約販売チラシ
そんなものさへ今のボクにはやさしくて

今日はすべて、うまくいく気がした
失ったものの重さ分かりかけても
戻ってこないの分かりかけても
今日はすべて、うまくいく気がした







 










自由詩 今日はすべて、うまくいく気がした Copyright 水中原動機 2006-11-30 22:23:56
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