雲の切れ間
快晴

昭和生まれの私の肩を
平成の雨が容赦なく打つ
汚れや痛みは流されず
ただ剥き出しの私だけがここにいる

昭和という時代の終わりを
私は祖母の墓参りの帰り道
高速道路の車の中で聞いた
まだ幼かった私には
昭和という時代を生きた一人の女の死が
一つの時代の幕切れだった

生まれながらにして
歴史の帳尻合わせを担わされた世代
新たな欲望
新たな悪意
新たな絶望
しかしそんなことよりも私には
この降り続く雨をける術がない

いつか文学も息絶えて 
ロックはもう死んだらしい
三島由紀夫の割腹自殺を
私は文字の上でしか知らない
歴史の再生産は終わりにして
これから何を生み出せるだろう

私はただこの場所に立ちすくみ
遠くの空に雲の切れ間を探してる


自由詩 雲の切れ間 Copyright 快晴 2004-03-28 00:10:12
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