ノート(指記)
木立 悟




糸の光
曇に沈み
雨は低く
小声 小声


まぶた かけら
冷えて重なり
愚かしさのまま
流れ 昇る


高く積まれたもののなかから
少しだけ見える鏡の先端
まばたく音を
色へと変える


溶けるのではなく混ざるのではなく
ただ重なりつづけるものたちの声を
いつか奏でる器たちのために
指は奏でることなく書きとめてゆく


反射が生まれ
光はわたる
ひとつ ひとつ
飛び越える笑み


閉じたまぶたの上の声
ころがりすすむその先を
追い求めずに追い求めるとき
遠くに遠くにまばゆさはある















自由詩 ノート(指記) Copyright 木立 悟 2006-11-23 17:24:14
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