ノート(指記)
木立 悟
糸の光
曇に沈み
雨は低く
小声 小声
まぶた かけら
冷えて重なり
愚かしさのまま
流れ 昇る
高く積まれたもののなかから
少しだけ見える鏡の先端
まばたく音を
色へと変える
溶けるのではなく混ざるのではなく
ただ重なりつづけるものたちの声を
いつか奏でる器たちのために
指は奏でることなく書きとめてゆく
反射が生まれ
光はわたる
ひとつ ひとつ
飛び越える笑み
閉じたまぶたの上の声
ころがりすすむその先を
追い求めずに追い求めるとき
遠くに遠くにまばゆさはある
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