A certain morning
はらだまさる

君の白い歯で
齧られたカンパーニュから
胡桃がぽろりと落ちた

君はそれをつまんで
口に放り込んだ
「頭が良くなるんだって。」

胡桃と全粒粉が焼け
キッチンに浮かんだ芳ばしさに
私が鼻先を鳴らすと

ドイツ製の浄水器でろ過された水と
グラスに透けた朝焼けを
君はこくりと飲んだ

無塩バターを
1?角にカットしたものを
パンに乗せるのが私のお気に入り

美味しいねとか幸せだとか
言葉にするのも
味気ないから

昨夜、ツバルの悲しみを知り
今朝はポアンカレ予想に興味津々の君に
私は微笑んでみせる

君が世界中から
どんなに見放されても
私だけは好きでいてあげる

君が私を愛せなくても
君の美しさは
私の宝物

ブロッサム・ディアリーの歌が
私たちの朝をゆっくりと
包んでいる




自由詩 A certain morning Copyright はらだまさる 2006-11-21 11:53:57
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