希望の詩
きりえしふみ

肌寒い冬の日であっても
それが淋しい雨の午後でも
探して下さい
一縷の柔らかな陽射し
あなたを誘(いざな)う一陣の
甘い風の香
ふいに足を踏み出して 旅してみたいと思うまで
両方の耳を澄ましていて下さい

注意深く読み上げて下さい
あなたの膝の辺りでふて寝している
真実が突如目を醒まし
籠の小鳥が舌っ足らずの愛をまた 囀り始めるまで

あなたはただ楽しみに待っていれば良いのですから
あなたが好んだ植木鉢に
そうして あなたは毎朝水を遣り
鼻歌を歌いながら 待ちさえすれば
可愛い花は鮮やかに咲き出すのですから
難題であっても ただそうして向かい合えば
答えはぽんっと 不安なあなたの掌の上で
啓かれるのですから

涙に暮れるような日でも
見詰めてみて下さい
涙目のあなたの影に隠れて……それでも
楽しいあなた お洒落なあなたは
(ただ かくれんぼに嵌まっているだけ!)
すっかりいなくなってしまったわけではないのです

注意深く見詰め続けて下さい
誰が匙を投げたとしても あなただけは
しっかりと見詰め返してくる
自分ながらに好きなあなたを見つけ出せるまで
あなたの好きな手鏡相手に 熱い眼差しを送り続けて下さい

(c)shifumi_kirye 2006/11/18


自由詩 希望の詩 Copyright きりえしふみ 2006-11-18 17:40:29
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