代わりに舌打ちを
Keico

言えない言葉がある

小石みたいに足元には沢山散らばっていても
こんなに寒い風が吹く夜では
指先の感覚はどこかに飛んでいってしまって
なかなか掴めない


そいつはどうしても言えない

それには理由なんていくらでもある
カップの底にたまった
砂糖の砂利のように
頭が痛くなるほど甘い言葉だし
水分を含んで
ますます重くなる


どろどろしたそいつを
どうにかして
さらりと言ってやろうと
私は君の腕の中でもがくのだけれど

当たり前に全く動じない君を見て


そいつの代わりに
またそっと反抗の舌打ちを


にやりと笑う君のわかったような顔が
不覚にも私の心臓をぞわりとさせた


自由詩 代わりに舌打ちを Copyright Keico 2006-11-17 22:17:29
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