半分の月を見ていた
ベンジャミン


半分の月を見ていた

半分の月を見ながら
僕は半分だけ眠りにおちて
残りの半分は現実にとどまった

半分の夢の中では
浜辺に立った自分が
遠くの景色を見つめていた

半分の月を見ていた

遠くの景色は深い青で
空の半分は海だったから
海の半分は空だった

半分の月を見ていた

そして僕の半分は空になり
そして僕の半分は海になった


半分の月を見ていた

遥かに大きなものは
受けとめることが難しい
だから僕は半分にして
そんな自分も半分にして

全てが満たされることを拒むように
小さくうずくまっていた

だから僕は
いつまでも中途半端なんだ


半分の月を見ていた

半分の自分を感じながら
半分の空と海の間で
ばらばらになりそうな自分を
一つにつなぎとめるために

半分の自分を
半分だけ詩に書いていた






自由詩 半分の月を見ていた Copyright ベンジャミン 2006-11-15 11:50:26
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