山の上で告げよ
ピクルス


ふるい手紙を火にくべたんか
けむたい朝に眼をしょぼしょぼさせとんね
一番遅くに寝たもんが
一番早くに目を覚ます
土鳩鳴いとるよ
くるくっく
卑しい国には正しい言葉なんてありゃあせん
えらい人はおえりゃあせん
熊手担いで畦まで歩こや
次はどうなるんかの
これからどうするんかの
あうんの戌に問い掛けて
吃りながらさらうんか
なきそなきそ濁りながら

からからの土手にも花が咲いとるけぇ
おまえ様のふくろうはうまく笑えたんか
またすこし霧かの霞かの
はごろものようじゃ
さむうないか
はらへっとらんか
あったけえと思うきもち
おいしいと眼を瞑るじゃろ
それでええで
それがええの

藪の中には蝮がおりんさる
だれじゃって毒をもって生まれてきとうない
だから隠れんさる
たまに大雨んときゃ
畦にも這い出すけどの
熊手の先で道を示すといい按配じゃろ

うぶめはのちのちにかかさまじゃ
裾を捲って怒ったように耕すんじゃて
やわらかいのを忘れんでくれの
やまのてっぺんは
畦からは見えんで
やまのてっぺんからは
ちいそうなって見えるんじゃ

ほい
夜が明けよる
きらきらしよる




自由詩 山の上で告げよ Copyright ピクルス 2006-11-14 11:30:00
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