ハローグッバイ
青山スイ

森の中を歩いていた
何かを探しているわけでもなく
何かに追われているわけでもない
ただ単に 森の中を歩いていた
しばらく歩くと ある空間に辿り着く
おそらくは森の中心なのだろう
大きく空が開けている その場所には
ソファーやテーブルそれにベッドもあって
もちろん美味しいコーヒーや灰皿もあって
少女がソファーに座って煙草を吸っている
僕はためしに笑顔を作り
こんにちはと言ってみた
少女は無表情のままコクリと頭を下げて
ありえない話よ、と言った
僕らはコーヒーを飲みながら 
朝まで入口と出口について語り合う
繋がっているのよ
少女は最後にそう言って
初めて笑ってくれた

そんな夢だった

目を開けると そこには日常があって
少なからず何かが消費されていた
そしてそれは 
なんとなく分かっていたコトだった

近所の犬が吠えている
虫達が何処かで鳴いている
電車の走る音がする
窓の外を見る
車が家の前を素通りする
煙突が見える 煙は見えない
空が繋がっている
繋がっている

入口と出口

夢の中で出会った少女が微笑む
もはや 目を閉じるまでもない


自由詩 ハローグッバイ Copyright 青山スイ 2006-11-08 19:54:21
notebook Home 戻る  過去 未来