ごみの日
はらだまさる

壊れた自転車が
冷たい雨に打たれて
泣いている

さっきから
何を君は耳打ちして
探しているのだろう

切れたブレーキワイヤーが
大地に触手を伸ばす
生き物みたい

五分後には
雨上がりのお日様に照らされる
子供が遊べない公園

寂しさは孤独じゃないと言う
本当の孤独は
夢の中にいるとき

我武者羅に
走り抜けているとき
寂しさに気がつかないとき

数えてごらん
棄てられた車のタイヤを
足の折れた机を

脱ぎ捨てられた靴下を
音を奏でない楽器を
読まれない書物を

言葉を知らない
痛みを忘れた君の声を
濡れた指先を



(僕が放り投げた炭酸水を、足元に零した君が奇麗にみえた)



自由詩 ごみの日 Copyright はらだまさる 2006-11-08 15:10:26
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