虹から
船田 仰

真夜中、どうしようもない文をきみに贈って
遂にどうしようもなくなった
靴下一枚ぶんだけあたたかい非常階段で
かどっこの感触を親指でたしかめる
しんどいなあ
でも息はできる

やっぱり拡張されたせかいには
ぼくの居場所は、うーん、どうかな
ニュースを言葉にすることもできない
そんなぼくはいりませんか
だれに
知らせるの


もっともっともっと体中
いやなものばっかり
見えなくても真向かいのショッピングモールは電灯を
ぴかぴか、電灯をけさないで
ちかちか、けして

ひつようだとおもったけどちがったみたい、だってしんどいもん
言えないけどね
中指に穴があることを発見した
泣いてやる

なかないぼくは夢想した


一粒だけたすけてくれたら
(ごくはっきりと)
楽になれるから
せめてこの非常階段のうえで
煙草吸いかけて
やめることにするんだ
にっちもさっちもいかないね
(いかないね)
もう虹みえない
過ぎちゃった
すぎちゃった


自由詩 虹から Copyright 船田 仰 2004-03-22 17:11:49
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