憧れは遠く遠く
AKiHiCo

近付かないで近付かないで
どうせキミも離れてしまうのでしょう
それならば最初から優しくなんかしないで

独りきり夢の中でずっと
あすこに見える建物に憧れて
息を殺して積み上げてきた
唯一在る僕の居場所
僕の城
僕だけの、

触れないで触れないで
壊れてしまうのが怖いから
今を失いたくないから
スピカさえ撃ち落とす輝きを
僕は持っているのだと信じたくて

ここは僕が創り上げた白亜の城
僕が独りで独りきりで、
誰にも彼にも立ち入る事などさせはしない
次は鋼で門を創ってここを守らなければ

広いこの城の壁は真っ白
何もない何も描けない夢の欠片を
集めて創った脆い哀れな僕の城
現実から逃げ出してしまった弱い心では
この世界さえ掲げる事は出来ないけれど
せめて夢でだけは頂点でいさせて
あのリゲルのように目映く、

あすこで煌くのは孤高のカノープス
僕もあんな風になれたなら


自由詩 憧れは遠く遠く Copyright AKiHiCo 2006-11-02 18:54:32
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