ひかりとかげとピーナッツ畑
渡邉建志

 
さりとても
黙っている自転車の二人
クモの巣の張った蓄音機
から流れる霧の向こうのチャイコフスキー
坂の多い街
猫の多い街
猫を抱く君



やみのなかのゆき
みんなでいてひとりぼっちであること
朝礼中に眼鏡を拭くこと
最近蚊に似た昆虫に刺されることが多くなった
みんなとても優しい
ご飯は少ないけれどカロリーとバランスはきっちり計算されている
板から落ちると危険だ
氷水を飲むと冷たい
ピクルスはすっぱい発音がする
(ピクルス)
(ピクルス)


中野かな、は回文だけど
さかなかな、は回文ではない
さかなかな?かさ。は回文だけど
どうも不自然だ
不自然なほうが無理やり物語ができる
あなたはさかなで僕はかさだ
さかなのあなたは地上を泳いで水に弱く
したがって雨に溶ける
ジェントルマン、否、ジェントル傘なわたしは
雨が降るとわたしをあなたに差し出す
下においで
さかなであるあなたはかさであるわたしのしたで
およぐ
わたしはたぶん
けんけんする
ジェントル傘だから足が長くてひょっとしたら二本足かもしれない
おれをだれだと思ってんだ
足長って呼ばれてんだぜ


伝説のカレーはいつもおいしくない
秘宝館はピーポ君に占拠されてピーポ館になる
ひるねの次の最近の流行は
ひかりとかげとピーナッツ畑


未詩・独白 ひかりとかげとピーナッツ畑 Copyright 渡邉建志 2006-10-31 01:28:45
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