atsuchan69

ゼブラゾーンをゆきかう雑踏の
感情のない動き、信号は確かに「緑。
だからと言って 何かが正しくない筈もなく
ビルの屋上からスコープを覗く狙撃手だって
彼らと同じく 無感情だったにちがいない

撃てば、倒れる 人がひとり、またひとり
それは音すら消えた、まるで痛みのない光景
此処と他所とは繋がらない 些細な事柄で
私とは、ひどく無関係な殺傷だった

引金に触れた )))
指の、「結果のまわりに
人だかり ――そしてさらに人がひとり、
またひとり。撃てば、倒れる
結果は、確実にゼブラゾーンの上に描かれた

信号機の「黄。

静かな殺戮が 正しく、
夢のように繰りひろげられ
風が吹き、人がひとり、またひとり
柔らかに降りそそぐ午後の陽射しに
大勢の死が アスファルトに散らばる 「赤。

哀しい匂いをつれて
仄かに訪れては過ぎる風


自由詩Copyright atsuchan69 2006-10-22 00:48:55
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