木枯し、吹くまえに
LEO

おしまいは
呆気ないね

今しがたまで注いでいた目線を
手元のカップに移して
囁くようにあなたが嘆いた
続けてのため息は
ほんのり紅茶の匂いで
外には
すぐそこに夜がある

北西にかかる雲の帯が
金色から緋色に
緋色から灰色に
変化を遂げるのに
時間はかからなかった
紅茶を飲みながら
綺麗ねと見ていたあなたの
春に仕舞ったセーターが
去年の冬の面影を映して

すこし痩せた指先は
秋の模様を描きながら
カップの上を戯れる
まだ赤みの残る
やわらかな指先を
見つめたままで
冷めてしまった紅茶にも
群青色の夜が下りてきた

秋の日は
夕焼けと同じ速さで過ぎてゆくね

そう呟いたあなたの横で
セーターを買いにゆこうと思った
この冬のあなたを包む
あったかいセーターを



自由詩 木枯し、吹くまえに Copyright LEO 2006-10-17 22:17:17
notebook Home 戻る