午後 の 悪魔。
もも うさぎ

世界を彩るのは 虚偽だけですよ と

午後の悪魔が言った



実際は新聞の色

あぁ、実世界なんてもんはしまうまの色ですよ と

午後の悪魔が言った




言いっぷりだけを見ると

悪魔はもしかしたら

あまり新聞やしまうまを 好きでないのかもしれない




嘘をおつきなさい と

午後の悪魔は言う


世界が少しだけ カラフルになるから

嘘は秘め事の色

睫毛の色

午後の呆然とした空に

世界中の色彩を集めて



虚偽を否定するのは すなわち

愛を否定すること

愛を自己犠牲というのは

間違っています 人間に限り




午後の悪魔は もしかしたら

人間を愛したことがあるのかもしれない



悪魔は 僕の部屋にあったはずの

古ぼけた本を手にしていた

オンフルールで生を受けた 奇人作曲家の生涯を

悪魔はめくる






僕はまた 午後の世界に戻る






次に 逢うときには

苺ヨーグルトを食べてみたいな




午後の悪魔は言った




自由詩 午後 の 悪魔。 Copyright もも うさぎ 2006-10-17 05:59:03
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