永遠石
マッドビースト
コンクリートの床
スニーカーのゴム底を通して僕の体温が始まったばかりの新しい季節に薄く広がる
入れ替わるように下肢は石像のように感動を忘れる
鳥は歌わず空は晴れず
タイムリミットに怯え世界が身を寄せ合う午後
宇宙は相変わらず膨張を続けている
ずっと一緒に、
と永遠を軽々しく口にする君の瞳に見あげられる度
困っていた僕はきっとひどく感心のない目で応えていたんだろうと思う
未熟だから無邪気だから
そんな理由をつけたがるのは男だからだろうか
精確に物事を計ろうとするのは臆病だからだ
計ることが意味のないこともある
対象が人智を超えるものならばなお
僕は知らなかった
永遠はいつでも始めることができることを
巡る季節の中で
星が沈み
咲く花の種が変わっても
約束や時間や言葉ではなくて永遠はひとの想いが実をつけるカレンダーにはない季節
咲かなかった僕たちの永遠の種子は半分だけ僕の中に残り
現在から湧き出て過去へ流れる情熱と記憶と思慮の川底に
磨かれた黒耀石のように硬く横たわっている
季節が移る度に鈍く光りながら
午後
僕の体温が世界に広がり続け
下肢は感動を忘れる