洗濯物と海
吉田ぐんじょう
乾きたてのネグリジェーは柔らかく
僅かに生臭いにおいがした
貝のぼたんが付いている
それを
人差し指で
上から順にさわってゆくと
真ん中のぼたんだけ
緑色の丸いぼたんに
付け替えられていた
さりさりした丸いぼたんは
しずんだ宝物のようで
なんだか
盗掘をしているみたいだ
気付かない内に
海そっくりの色をした風が
家じゅうを
青い冷たさで満たしたようだ
細かな波が広がり
眼を凝らすと直ぐに
消えていったから
両脚の間を
小さな蟹が
通り過ぎてったようだから
自由詩
洗濯物と海
Copyright
吉田ぐんじょう
2006-10-12 21:37:18
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