子羊
水在らあらあ

?.


朝風呂が好きだった
その朝もおまえは
俺たちの小さな家の小さな風呂に
窮屈そうに仰向けになって
顔を沈めて
水の中で
目は見開いて
くちびるが
SEE YOU って
動いた
いつもどおりだった
俺が外に出てから
なんだか気になって引き返してくる間の
三十分で
六十秒が三十回だけで
それだけの時間で
何にも持っていけるわけないのに
おまえは全部持っていきやがった
俺にはおまえが
俺たちの小さな家の小さな風呂の小さな窓から
飛んだとしか思えないんだ
なんだかそういった魔物を呼び出して
それに乗って飛び立ったに違いないんだ
裸で
小さな街だから
そのあと一日街中走り回って
おまえの名を呼んだのに
おまえはそのころにはもう
地中海あたりを飛んでたんだろう
俺たちの結婚証明書と指輪をそこに
行き場のない地中海の水に捨てて

それから俺は
なんだかひどく悪い風に吹かれながら
家に帰ったのを
よく覚えている
もう街灯がついて
街中が 湿ったかさぶたみたく オレンジで
かさぶたを剥がすようだった 歩くのが 一歩一歩 

オレンジの
その中を俺は悪い風に
ひどくびゅうびゅうびゅうびゅう言われながら



のどが
からからで

公園の 草を食べた




?.


TWO TOWELS WITH MY BLOOD TWICE TAINTED
SPOILED TWO TOWELS WITH MY BLOOD TWICE
STAINED TWO TOWELS WITH MY BLOOD TWICE
TAINTED MY BLOOD WITH TWO TOWERS TWICE
TOWERS TOWARDS TIME TOWARDS TIME TWICE
TOYED TWICE ON TWO TOWERS MY BLOOD YOU




MY BLOOD




おまえを乗せて
 空飛んでった
  魔物の真っ黒な目を
   俺は昨日
    海の底で
              見た







?.


おまえの実家から

木曜日に
殺したばかりの
子羊を

もらったから
工房から
斧持ってきて

骨を
叩き切るつもりが
忘れて

しようがないから
包丁で
腕力で

叩き切った
チリンドロンに
しようね

おまえの好きな
でも俺
間違えて

自分も
切ったよほら
なあ

そんな
間違いばっかりだ
ここ数年

あいつが
いなくなってから
なんだか

おかしいね
おまえが
いるのに

おまえのこと
すきなのに



俺たち
いいのに 



それは嘘じゃ

ないよね



?.


TWO TIGRES TWICE THROATED WITH MY


光を手のひらに集めて
俺に ぶつけてくれ
おもいっきり 明るく
明るく 明るくしてくれ

太陽なんて 言ってないから
月で いいから
月で いいけど
温度だけは 保って

そこで死んだ 虫はきっと
あたしが誘って 飲んだくれて
月光なんかで 死んじゃったのよ
温度だけは 優しくして

おまえが絞ったレモン
子羊の上に絞ったレモン
それは ちょっと
どうかとおもうぜ なあ だって

そこで死んだ 虫はきっと
あたしが誘って 飲んだくれて
月光なんかで 死んじゃって
温度だけは 保ってたのよ

顔にはかけんなって言ったのに
いたいいたい 痛いよ
昨日切ったんだ いたいって
ぶつけたんだよ おでこ 切れてるでしょ 叫ぶよ

温度だけ 保って 
埋めて うずめて オリーブの木の根元に 死なせて
ずっとバラの花びらを集めている 生きさせて
100ポンドもしたから

温度が ずれて
虫たちは 生きて
花びらは 全滅だ
1000ポンドも するから

レモンを 
レモンを
レモンを
レモンを

子羊を
子羊を
子羊を
子羊を

殺さないで
殺さないで
だって
光が

絶えるから
絶えちゃうから
絶えちゃうから
絶えちゃったら

その 場所には ね
きっと だれも
いないぜ
おれも いないぜ

おまえも いないぜ
君も いないぜ
あなたも


いないぜ


どっちにしろ 
かけんな
レモンを
絞って






子羊に










自由詩 子羊 Copyright 水在らあらあ 2006-10-10 00:52:08
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