アメオ
よつやとうじ

神ガカル文面を
鈍行列車に乗せて
目的地には
停まらないのが
亡霊日和

日が暮れよると
鈍光が生まれ
メキメキと連結は乱れ
吊り革は百足のツメ

ああ先ほどから
笑っております雨が
明日もまた晴れやかで
穏やかな日が続きますよ
などと曖昧をふりまいて

午後になろうか
雨になろうか
まだ決めかねて
手の届かぬところで
うようよしておりましたら

指伝いの袖口より
桃色蜥蜴逃げ出して
あ と
洩らすのです

ざざ降りの男は
いつもその窓際にいて
傘で突いてやると
ニワカですからと
型通りの嘘をつきよります

午後を濡らした
事件について
まだ足を伸ばせそうになく
百足の腹を眺め
男の雨音を聴いて
はぐれてゆきます
このさきも


自由詩 アメオ Copyright よつやとうじ 2004-03-15 00:13:59
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