金木犀
Rin K



金木犀の
金木犀の
花の陰が
心にはらり、落ちてゆく
この道は
この道は
いつに辿ってきたのでしょう

金木犀の
金木犀の
花の香は
昔にかよう
消えかけた
面影一つ
紫野辺の
朝を分く

金木犀の
金木犀の
燈火の涙
心にゆらり、香ににおう
この道で
この道で
いつに辿り着けるのでしょう


   *


金木犀の
香が一つ
君の鳴らしし
こころがひとつ

金木犀の
金木犀の
漂へる道
通ひし愛は
橙色の
切なさ満ちて
紫野辺の
夕を染む

金木犀の
懐かしき夢
流れもあへず
いづくにかよふ


   *


金木犀の
金木犀の
優しい色が
心にふわり、甘さを広げ
この道は
この道は
後ろがなくてどこまでも

金木犀の
金木犀の
花の音色が
きこえるでしょう
短調の
メロディー震え
紫野辺の
月と泣く

金木犀の
金木犀の
むせぶ言葉は
やがては凍り
この道で
この道で
わたしはひとり
冬を待つ






自由詩 金木犀 Copyright Rin K 2006-09-30 01:34:29
notebook Home 戻る