回覧板
ZUZU

いつも留守のあいだに
ぼくのポストにたてかけられている
回覧板には
いくつもの恋の終わりがのっていて

ぼくはその欄を見るのがとても楽しみ
恋は突然に始まり
ある日うそのように終わってしまう
大きな喫茶店の窓から
寒い外を見ながら
ひとつひとつの恋について
思いをめぐらす

だけどきょう届いた回覧板には
そっと
見覚えのある恋がのっていた
ああそうか
恋は終わってしまっていたのだ
まるでひとごとのように

となりの家のポストに
回覧板を届けにいく
呼び鈴を鳴らしてもきょうも留守

ぼくらはいつもどこか遠い国から
帰ってきた旅人のように
明日だれかの恋の終わりを
静かに知ることになるんだろう





自由詩 回覧板 Copyright ZUZU 2006-09-29 19:30:14
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