なかったはずの
たもつ



家に帰ると
なかったはずの、が
いて
言わなかったはずの
おかえりを
言ってくれる
それから
なかったはずの
夕食の支度が始まる
なかったはずの、は
キッチンで月の光のように
つるつるとしている
なかったはずの、が
あまりにきれいなので
僕らはあこがれ
すべてを
なかったはずの、
ことにしてきた
なかったはずの、は
大きくなって
部屋にいたはず、の
君も僕も
もう見えなくなってる





自由詩 なかったはずの Copyright たもつ 2006-09-26 22:42:37
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