夜想曲
石瀬琳々

ノクターンそのたくらみに旅をする
    まなざし揺れる夜の窓際


ささやきに似た腰つきでつぶやきに
    似た足どりでダンスする


ガラス窓くちづけかわす夜の色
    あいしていると風はくるめく


胸に抱く想いははかな蒼やかに
    咲く日のあればわたしの菫


すみれ匂いありかは知らずひたすらに
    もえる心を恋と名づける


そばだててそっと聞くのは胸の音
    あるいは風のつまさきだちの


さやかさやか葉ずれの音にやさしい嘘
    重ねて過ごす夜の営み


冷たいキス闇の中ほどをともし
    風のしるべに行くあてもなく


抱きしめてはなさないでよ夜に迷い
    淋しい瞳ほそい指でも



短歌 夜想曲 Copyright 石瀬琳々 2006-09-26 14:20:22
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