顔 その4
恋月 ぴの

仮面


産まれたての
あの頃に
戻りたくて人は被る








他人を欺きとおせても
おのれの顔だけは

欺けない





頭蓋骨


それは追憶のためにある
生きていた頃の
苦悩と歓びの残像を
その姿に宿し
画家のテーブルで時を刻む
ピカソが
セザンヌが
描こうとしていたもの
物体と化した
表情の向う側で語りかける
眼差し
それらの愛おしさを
絵筆の先
感じるままに
生きるがままに


自由詩 顔 その4 Copyright 恋月 ぴの 2006-09-26 10:49:22
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
日記のようなことばたち