小麦畑に咲いた星
Lucy.M.千鶴

風が みえる。

小麦畑が 風の かたちに
なぞられて ゆく・・・

(こんじき)の波は
ささやいて いたのに

なぜ、 わたしは
ささやかなかったのだろう 君に・・・
愛を・・・

わたしの ささやきが
迷惑ならば

風の せいにして
きこえなかった ふりを
君は 
すれば いい

空回りした
ささやきは

風にのって
どこかへ ゆくのに

なぜ、 わたしは
ささやかなかったのだろう

恋は 一度きりと 

信じていた
あの頃。

幼かった 恋の
忘れ形見を

暮れつつも 
まだ はんなりと 
あかるい 空に
ひとつ 一等星

さがしてる

小麦畑をわたる 風のなかに
今でも
見いだそうと している


あの頃
成りたくなかった タイプの 
大人に なった わたしが・・・
さがしてるなんて・・・

今――― 。


自由詩 小麦畑に咲いた星 Copyright Lucy.M.千鶴 2006-09-20 14:03:49
notebook Home 戻る