私はある意味、銃殺された
朽木 裕

君の肩越しに白熱灯
君に触れられた部分が熱を持つ 静かに静かに

手をきつく繋いで
深い場所まで二人で堕ちよう?


「温もりを ひとつ あげる」

「…何を、きみはくれるの?」

「ひとつ、優しいキスを」


云って瞼に触れるあたたかなくちびる

まるで止まない雨のようにキスは絶え間なく


「求めてるんだよ こんなにも」

「…知ってるよ、」


ヒカリを地の果てに追いやっていつまででも抱き合っていようよ

なにも怖くない なにも


「知ってる、こんなにも熱い身体は余すことなく私のものだって、ことも」

「…そうだね」

「私を終わらせるのはこの世界で君しかいないことも」

「終わらせは、しないよ」


やさしいその指先で はやく

はやく 私に熱を



「愛してる」



近くで遠くで声、がする


世界の最後みたいな君のその笑顔に

私はある意味、銃殺された


散文(批評随筆小説等) 私はある意味、銃殺された Copyright 朽木 裕 2006-09-19 21:48:16
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