銀と世界と
木立 悟




夜とカケラと
くず拾いの顔
コップをコップで閉じ込めた輝き
薄め 薄めて
水より薄く
足を伝った油の罪
月は彼等に殺された
私は月を想って泣く
封じた想いは耕され
見たこともない根となり 笑う


音が聞こえる
何かを整列させる声
最後の理性
旋律の果て
人間の人間の
閉ざされた物語
醜い醜い
流れるだけの存在


ひかりが止まった
私の目に突き刺さったまま
止まった
水に映った緑の月が
すばやく赤く
何度も笑った
銀と世界と濁った星に
蝙蝠の詩をつぶやくと
みんな私をさげすんで
人間の服を投げつけた









自由詩 銀と世界と Copyright 木立 悟 2006-09-19 13:10:58
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1986年の詩