ナイトウォーカー
藤原有絵
果てが薄闇にかすむ一本道
日が昇れば
僕は人を殺しに出かけていく
私が売るものは
身体ではなく情報なのよ
と
凛とした横顔
足首の清々しい青
彼女はコールガール
僕のたった一人の友達
血の匂いと
酒臭い息で
彼女を過ぎる男たちは
もはや死を狩る
腐った人形にすぎない
夜に堕ちていく
人であった者たちの
記憶を
吐息に閉じ込めて
生を呼ぶ
彼女の髪や指が
アンギルのように見えた
僕はどうして死ななかったのか
と
思う時
一度だけ
暗い雲の下で聴いた
コールガールの歌の事を思い出す
汚れた腕で
彼女を抱けなかった
はがゆさが
僕を辛くも生かし続ける