ナイトウォーカー
藤原有絵

果てが薄闇にかすむ一本道
日が昇れば
僕は人を殺しに出かけていく

私が売るものは
身体ではなく情報なのよ

凛とした横顔
足首の清々しい青
彼女はコールガール
僕のたった一人の友達

血の匂いと
酒臭い息で
彼女を過ぎる男たちは

もはや死を狩る
腐った人形にすぎない

夜に堕ちていく
人であった者たちの
記憶を
吐息に閉じ込めて

生を呼ぶ
彼女の髪や指が

アンギルのように見えた


僕はどうして死ななかったのか

思う時

一度だけ
暗い雲の下で聴いた

コールガールの歌の事を思い出す


汚れた腕で
彼女を抱けなかった
はがゆさが

僕を辛くも生かし続ける





自由詩 ナイトウォーカー Copyright 藤原有絵 2006-09-18 00:43:42
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