輪郭期
A道化




ちらつかず
そ、と留まっている、あれは
振り払えぬ外灯を振り払わず
硝子に帯びたままの、あれは
蛾だよ
その在り処では
既にひとつの夏が締めくくられている
夏ではない今となってはもう
硝子に帯びたまま
ちらつかず
振り払わぬ外灯の為に薄明るく
辛うじて保たれている
瞬きで裁ってしまいそうな輪郭の
ああ、瞬く間の輪郭の
薄い、既に肌寒い、あれは
蛾、という現象だよ


2006.9.14.


自由詩 輪郭期 Copyright A道化 2006-09-14 00:29:09
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