ハニー カム
夕凪ここあ

ハニーカム
あなたは先に行って待ってて
甘い桜の薫るあの大きな木の横で

ハニーカム
これは小さな幸せの呪文

擦り減ったスニーカー
石ころを蹴飛ばして明日に辿りつけたらいい

私は甘い匂いの薫る花びらを栞に
あなたに贈るささやかな本を書いています

あれはいつかの桜の季節
小さな手のひらと手のひらを繋いで
零れ落ちる薄く色づいた花びら
一つ掬い上げては言えずにいたことばたち
離れた手と手 大きな桜に見守られながら
あなたは明日へと
私は昨日へと 向かってしまった季節

風がほのかに運ぶ桜の優しい匂い
その先をあなたは明日と呼んで歩いてく

ハニーカム
あなたに届けに行くぬくもり
首の後ろあたりに触れたなら

ハニーカム
それはあなたに贈る小さな絵本
色褪せることなく
永遠のハニーカム


自由詩 ハニー カム Copyright 夕凪ここあ 2006-09-09 16:31:13
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