鮮やかさ
狩心

ぴかりと光る輪郭
来る日も来る日も
ボロ雑巾で磨いたのだろう・・・

乾いた雑巾をバケツの水に浸し 
力強く絞る 
その表情は 
鬼の面
何を睨む

血しぶきを撒き散らす
その部屋に差し込む太陽光
血と血が鏡になり
太陽光を反射する
無数の屈折が織り成す光の蜘蛛の巣

窓の外からは見えぬ
血だらけの体をボロ雑巾で拭う
ボロ雑巾をバケツの水に浸す
力強く絞る

繰り返される工程の中で
染め上げられていく衣
白から赤道直下へ
赤道直下から太陽の黒点へ

刷り込まれた
水と太陽と血

人が死んだ後
部屋に残される
たった一枚の雑巾


自由詩 鮮やかさ Copyright 狩心 2006-09-08 17:18:17
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