ふたりのこと
たもつ


郵便配達員がポストと
駆け落ちをした
四畳半の小さな部屋だった
配達員は毎日
せっせと手紙を書いて投函した
春という字を書くと
いつも何だかくすぐったかった
集配時間には
ごめんね、と言って
ふたを開き
世界中の人に手紙を届けた
遠い国の争いごとには
無関心な世間の人も
ふたりのことは温かく見守った



自由詩 ふたりのこと Copyright たもつ 2006-09-04 08:50:59
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