スパーン
木葉 揺

スパーンは何度も訪れる

スパーン!!

昨日、私は小泉首相になった
角ばった頬と細い目
三角定規の鼻
確かに、あのときは首相だったから

スパーン!!

鉄線好きなんだな
気がつくとついつい体に巻いて遊んでる
ケラケラ笑いながら横を見ると
銃を手にしたDDRの国境警備隊員が
タイミング見計らっているの見えた

スパーン!!

手は暖かく柔らかく
笑顔は優しく声は美しく
右から左から
カーテンは揺れて
秘密の果物を食べたら
世界に酔うパックマン

スパーン!!

リムジンから貴婦人
降りてきたドア
閉まる寸前のことだった
見知らぬ青年が飛び乗り
そのままリムジンが走り出した
モノクロのフィルム

スパーン!!

腰をクッと動かしたら
偶然、鉄線切れたんだな
「そんな勝手は許されない」と
ゴールデン街三周の刑
それでも誘惑交わして無事クリアー
たちまち音楽が流れて
ネクストステージはハーメルンだった

ハーメルンに残された私に
かすかに聴こえるのは笛の音
靴の下に残ったスカートの切れはしを
夕陽にそっとかざした
あのときに見たカーテンはもしかして

スパーンは何度も訪れる
だから私は生きていける

スパーン・・・


自由詩 スパーン Copyright 木葉 揺 2006-09-03 22:10:01
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