ふるる

怒ったあなたの瞳に光るもの

稲妻だったらすごい

それはどんなにかすごい

刃のように空を閃かせて

雨に濡れ
雨に驚く人々の顔をくっきりと切り取る

それほどの鋭さで
稲妻は走る
怒りも

あの橋の上で
叫ぼうとした真実は
どうどうと濁流が飲み込んでしまった
飲み込んでどこへ

子供の落とした人形が
浮き沈みしながら流れていった
目で追うけれど
追うけれど

あの時橋の上で
泣いてなどいなかった
ほんとうに泣いたのは子供の時だけ
橋が風に煽られてただ鳴いただけ
鳴いた
鳴いた
鳴いた

川に人形を落としてしまった子は

同じものが欲しいと言って
泣くのかな

同じものが欲しいなどとは言っていない

素晴らしい時もあったけれど
濁流に飲み込まれてしまった

同じものが欲しいなどとは言っていない

誓い合った時もあったけれど
今はもう見えない

叫ぼうとした真実は
飲み込まれてどこへ

泣いてなどいない

ほんとうに泣いたのは
子供の時だけ

怒ったあなたの瞳に光るもの

稲妻だったらすごい

それはどんなにかすごい

刃のように空を閃かせて

嘘のわたしをばさりと






自由詩Copyright ふるる 2006-09-02 13:28:39
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。。。。。恋愛詩っぽい。。。。。。